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感染症と休業手当Infection

概要

インフルエンザやノロウィルスなどの病気にかかった従業員を強制的に休ませることができるのか、という質問を受けることがあります。事業主や人事部門の皆さんが疑問に思われている部分かもしれません。今回は風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった従業員を強制的に休ませることができるのか、という疑問に答えていきます。

まずは、言葉の定義からです。よく就業規則などで、「伝染病」にかかった従業員は休業させる、などの記載がありますが、いわゆる風邪やインフルエンザは、現在では「感染症」と言います。「伝染病」とは言いませんので、注意が必要です。

感染症による出勤停止命令

では、感染症で会社が休職命令を出せる場合は、どのような場合があるのかを見ていきます。まず、関連する法令ですが、下図の様になっております。感染症にかかった従業員への出勤停止命令ですが、法的に出勤が禁止されているものと事業主が職場内の安全配慮より禁止するものとに分類されます。

条文 出勤停止命令者 就業規則記載の要否 休業手当支給の要否 
感染症法第18条
法による強制及び都道府県知事
不要 不要 
労働安全衛生法第68条
法による強制
不要 不要 
労働契約法第5条 事業主 必要 必要 

法的に出勤停止させることの感染症は種類が厚生労働省令により決められております。この感染症に該当する場合、休業手当の支払義務もありませんし、給与の支払義務ありません。この為、出勤停止期間中の給与を削減することができます。

感染症法第18条による出勤停止命令

感染症法18条には1類〜5類および新型インフルエンザが規定されております。このうち、下表にある1類〜3類までの感染症および新型インフルエンザは、法に出勤停止となりますただし、4類及び5類は出勤停止となりません。この分類表は厚生労働省により追加や修正が加えられます。最新の情報は下記リンク(出展:厚生労働省 感染症法に基づく医師の届出のお願い)を見て下さい。

1類 エボラ出血熱 、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト 、マールブルグ病、ラッサ熱
2類 急性灰白髄炎 、結核 、ジフテリア 、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。) 、鳥インフルエンザ(H5N1) 、鳥インフルエンザ(H7N9)
3類 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス
その他 新型インフルエンザ

出展:厚生労働省 感染症法に基づく医師の届出のお願い

インフルエンザ

新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザ(H5N1)は、出勤停止命令の対象となりますが、従来からあるインフルエンザ(いわゆる季節性インフルエンザ)は、出勤停止命令の対象外です
なお、鳥インフルエンザ(H5N1)は2類感染症、その他の鳥インフルエンザは4類感染症に指定されております。新型インフルエンザ等感染症は独立して類型化されています。
まとめると下表のようになります。
感染症名 出勤停止命令 休業手当の支給要否
新型インフルエンザ 法による強制 不要
鳥インフルエンザ(H5N1)
法による強制 不要
 その他のインフルエンザ 事業主の判断  必要 

ノロウィルス

ノロウィルスは、食品関連の会社では非常に気にかける必要がある感染症です。ノロウイルス感染症は、前記載の感染症法第18条で規定されている5類感染症に位置づけられた「感染性胃腸炎」の一部となっております。ただし、5類感染症は感染しても就業制限はなく、従業員を休ませる場合は「会社都合の休職( 使用者の責に帰すべき事由による休業)」となり休業手当を支給する必要があります。従業員が自主的に休んだ場合は、会社都合の休職とはなりません。基本的にはノロウイルスで会社を休む場合は、有給休暇を取得して休むのが一般的でしょう。(有給休暇の解説はこちらをクリック)

まとめると下表のようになります。
感染症名 出勤停止命令 休業手当の支給要否
ノロウィルス
(5類感染症)
事業主の判断 必要

労働安全衛生法第68条による休職命令

なお、労働安全衛生法第68条にて、厚生労働省令で定める伝染病等の疾病の場合は強制的に休ませることができるとなっておりますが、この厚生労働省令には、上記感染症法に規定されている、感染症の4類、5類は含まれません。
 (病者の就業禁止)
第六十八条  事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

派遣

派遣先の会社の都合で休業する場合でも、派遣先には休業手当(労働基準法第26条)を支払う義務はありません。この場合は派遣元企業が支払うことになります。

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