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吉田労務管理事務所は、社会保険労務士業務、行政書士業務、労働保険事務組合を専門とする総合事務所グループです。

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解雇Dismissal

解雇の種類

解雇には、大きく分けると普通解雇と 懲戒解雇が存在します。
懲戒解雇は、不法行為があった場合などに適用される場合がありますが、就業規則で規定されている懲戒事由に該当する場合の解雇となります。

その他、解雇の分類としては、通常解雇<->即時解雇、個別解雇<->整理解雇などがあります。

整理解雇の4要件

整理解雇を行うには判例により下記の4要件を満たす必要があると考えられています。
なお、本4要件は期間の定めのない労働契約に適用されますが、一定の場合有期労働契約にも類推適用されます。

@整理解雇の必要性
A整理解雇の回避努力義務の履行
B被雇用者選定の合理性
C労使交渉等の手続きの合理性

退職後の懲戒解雇と退職金

従業員を解雇した後、非違行為等が発覚し、懲戒解雇扱いとして退職金を不支給にできるのかという問題ですが、原則は退職金を支払う必要があります。
この理由は、退職した者は会社との雇用関係が既に終了しており、懲戒解雇とすることができないからです。この為、懲戒解雇に該当する事実が退職後に発覚した場合でも就業規則に退職金規定がある場合等は、その規則に添い正規の退職金を支払う義務が生じます。
(平成2.7.27 広島地裁判決 広麺商事事件)

ただし、別の判例では就業規則に「懲戒処分により解雇する場合は退職金を支給しない」旨を記載してある場合、雇用関係終了後に懲戒解雇に相当する事由が存在した場合に退職金を不支給にすることを認めたものもあります。
(平成11.1.29 大阪地裁判決 大器事件)

このことからも、就業規則には「背任行為など就業規則に反し、懲戒処分により解雇する場合は退職金を支給しない」旨を掲載するだけではなく「懲戒処分に相当する事由がある場合も退職金を支給しない」旨記載しておくことで、このような問題をある程度回避できます。

詐称による解雇

従業員を雇い入れる際に、学歴や職歴を履歴書に記載して提出して頂くことが一般的に行われております。
この学歴や職歴に詐称があった場合、解雇することができるのでしょうか?

この問題に対して、法律上の規定はありません。ただし、判例では「重要な」経歴の詐称は労使間の信頼関係破を破壊するものであるため、解雇・懲戒解雇の合理的理由になる、いっております。
ただし、経歴を詐称して入社したとしても、その後何十年も問題なく働き続けているような場合には、経歴詐称を理由にしての解雇は一般的に難しいとされております。

では、持病等の病歴の詐称の場合は、どのような扱いになるのでしょうか?
近年、てんかん発作等の交通事故が社会問題となっており、運送業では運転手の持病に関しての対策を検討されている企業が多くなっております。このような場合も懲戒解雇の該当となるのでしょうか。
これは、難しい問題でもあります。経歴や職歴と異なり、病歴はより高度な個人情報であると言えます。この為、病歴をどの程度会社に伝える義務があるのかという問題もあります。
また、雇入れ時の健康診断を実施しても「てんかん」や心筋梗塞等の病気を診断できないことが多々あります。
一方で、事業主には安全配慮義務が課せられております(労働契約法5条)この為、事業主の安全に配慮する義務が生じます。故に、経営者には従業員の健康状態を把握する義務が生じます。もし、安全上の問題で事故が発生した場合、事業主の安全配慮義務違反が問われ損害賠償請求される可能性もあります。

このように病歴詐称に関する解雇は、非常に扱いが難しい問題として残っております。ただし、就業規則等の懲戒に明記しておくことや雇入れ時の問診等で自己申告してもらうなどで予防策を講じておくことは重要なことであると言えます。

入社時の健康診断

病歴の詐称を入社時の健康診断でどの程度防止できるか、ですがこれは難しいかも知れません。特に、てんかんや心筋梗塞等の疾病は一般的な入社時の健康診断では見つけることができないと思われます。
また、通達(「採用選考時の健康診断について」平成5年5月10日付け事務連絡)では、職務に必要のない項目まで詳細に調べることのないよう言っております。

しかし、トラック等の運転手が、その運転に支障のある持病を持っている場合、採用時に把握しておきたいのが事業主の正直な気持ちであると思われます。

そこで、問診等で自己申告する方法もあります。業務に支障があるような重篤な持病がないことを自己申告で提出してもらいます。ただ、深刻に虚偽の記載があったからといって必ずしも解雇できるというわけではありません。しかし、もし隠していた場合、虚偽の申告をしたことになりますし、抑止効果も期待できます。

懲戒処分

従業員に対して、懲戒を行う場合は、就業規則等で明示しておく必要があります。就業規則等で明示されていない場合は懲戒処分を実施することができませんので、注意する必要があります。
なお、従業員が10人未満の事業所では、就業規則を作成されていない場合もあるかと思います。このような場合でも雇用契約等に懲戒に関する記載があれば、懲戒処分を実施することが可能となります。

個別労働紛争の統計

近年、会社と元従業員との間で労働紛争が多くなってきています。事業主さんからすると、辞めた従業員からいきなり「通知書」の形で解雇無効や未払い賃金の請求などが来ます。会社側が100%正しくても完全勝利となることは大変難しいのが現実です。下記の厚生労働省のサイトで個別労働紛争が発生した場合、どの程度の額で金銭解決しているのか、などを検索することができます。

http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/funsou/funsou_tool


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